ワクチンについて
乳幼児期には免疫(病気に対する抵抗力)が未発達なため、さまざまな感染症にかかります。そして感染していくことで免疫をつけながら成長していくのです。でも、子どもがかかりやすい感染症は、かぜのように軽いものだけではありません。中には、確実な治療法がなくて、深刻な合併症や後遺症をおこしたり、命を落としたりする危険がある病気もあります。そうした感染症は、かからないようにまず予防することが大切です。
感染症を予防するのに、安全で確実性の高い方法が、ワクチンの接種です。ワクチンは、病気を防ぐために必要な免疫を安全につける方法です。ワクチンを接種することで、子どもたちを病気から守ることができます。
でも、すべての感染症に対してワクチンが作れるわけではありません。ワクチンで防げる病気は、ごく一部にすぎません。ワクチンを開発するのはとても難しいことで、困難を乗り越えてまでワクチンが作られたのは、それが重大な病気だからです。ワクチンというすぐれた予防法があるのに、使わないのはとてももったいないことですね。大切なわが子を守るためにも、ワクチンのメリットを最大限にいかしましょう。
肺炎球菌ワクチン
肺炎球菌ワクチンとは
肺炎球菌は、多くの子供の鼻やのどにいる、身近な菌です。ふだんはおとなしくしていますが、子供の体力や抵抗力が落ちた時などに、いつもは菌がいないところに入り込んで、いろいろな病気(感染症)を引き起こします。
肺炎球菌が起こす病気
- 細菌性髄膜炎
脳や脊髄をおおっている髄膜に菌が侵入して炎症を起こす。日本では、毎年200人の子供が肺炎球菌による髄膜炎にかかり、うち 1/3くらいが、命を奪われたり、重い障害が残ったりしている。
- 菌血症
血液の中に菌が入り込むこと。放っておくと、血液中の菌がいろんな臓器にうつり、髄膜症などの重い病気を引き起こす心配がある。 - 肺炎
肺炎球菌という名の通り、肺炎の原因になる症状が重く、入院が必要になることもある。 - 中耳炎
カゼなどで抵抗力が落ちた時に、耳の奥に感染し、炎症を起こす。肺炎球菌が原因の中耳炎は何度も繰り返し、治りにくいことがある。
小児用肺炎球菌ワクチンってどんなもの?
細菌性髄膜炎など、肺炎球菌ワクチンによる重い感染症を予防する、子供用のワクチンです。
- 予防できる病気
肺炎球菌による髄膜炎や菌血症、菌血症を伴う肺炎など。これらの病気を予防するために接種します。 - 接種する時期
生後2ヶ月以上から9歳以下まで接種できます。肺炎球菌による髄膜炎は約半数が0歳代でかかり、それ以降は年齢とともに少なくなりますが、5歳くらいまでは危険年齢です
(5歳をすぎての発症もあります ) 。2ヶ月になったらなるべく早く接種しましょう。 - 効果
2000年から定期接種にしているアメリカでは、ワクチンで予防できる肺炎球菌による重い感染症が98%減りました。現在、世界の約100カ国で接種され、うち43カ国では定期接種されています。
- 副反応と安全性
ワクチン接種した後に、発熱や摂取部分の腫れなどの副反応が起こる頻度は、ほかのワクチンと同じ程度です。10年前に発売されて以来、世界中の子供たちに接種されています。